武相高校フットサル部顧問 大友洋介「U-18年代の育成~フットサルとサッカーの違いは何だと思う?~」

高校生の選手に初めてフットサルを教える際、フットサルとは何かを考えてもらうために、必ず同じ質問をします。それは「フットサルとサッカーの違いは何か?」です。

もちろん、たくさんのキーワードが上がってきます。スローインではなくキックイン、11人と5人、オフサイドがない、交代が自由、パワープレー、ゴールが小さい、ボールが弾まない、などなど。

その上で、「サッカーとフットサルを分ける、重大な違いは何だと思う?」と聞いてみます。

再びいくつかキーワードが上がりますが、先程よりよく考えて厳選されたキーワードとなります。ここで、私の考えを選手に伝えます。

フットサルとサッカーの違いは二点だけです。1つ目の重大な違いはオフサイドがないこと、2つ目の重大な違いはボールがローバウンドで扱いやすいということです。」この2点がフットサルとサッカーを違う競技に変えてしまいます。

武相ブログ1オフサイドがないのであれば、オフェンスの最前線の選手は、ディフェンスの裏を取ってボールをもらおうとします。ディフェンスの最後尾の選手は、オフェンスの選手に裏を取られないように守ります。すると自然に、ピヴォとフィクソの関係性が生まれます。

フットサルボールはサッカーボールよりもボールが扱いやすいため、足の裏を使ってプレーをします。すると、ボールを手で扱っているかのような緻密なプレーが求められます。

選手には、フットサルは足でやるバスケットボールのような競技だと説明します。

以上のことを考えた上で練習を行うと、ピヴォを狙った攻撃と、それを阻止する守備が始まります。止まったままボールを回しても、突破口が開けないため、オフェンスの選手はパスを出したその後に走り出すことになります。すると次第に、オフェンスの選手はボールをパスしたその後に、スペースを見つけて走り込む動きが求められます。そして、パラレラとディアゴナルの動きを教えることになります。

こうして武相高校のフットサルが始まります。

私は、基本的にフットサルとサッカーは同じであると考えています。その上で違いはこの2点であり、戦術を考える上での基本としているのです。

フットサルとサッカーは同じですから、戦術に溺れすぎると、基本的な技術の差によって、サッカーを主に活動するチーム(サッカー部)に負けてしまいます。戦術を磨かなければ、フットサルチームに負けてしまいます。バランスよくトレーニングする必要があるのです。

 

武相ブログ2もし、フットサルのキックインをスローインにしても、フットサルはフットサルです。変わりません。サッカーのスローインをキックインにしても、多少得点は増えるでしょうが、サッカーはサッカーです。フットサルを6人制にしても、フットサルはフットサルです。サッカーを5人で行っても、7人で行っても、サッカーはサッカーです。但し、オフサイドをなしにすれば、フットサルに近い競技となります。8人制の少年サッカーは、どちらかといえば8人制のフットサルだと思っています。11人制のサッカーを、フットサルボールで行うと、フットサルに近い競技となります。5人制のフットサルを、サッカーボールで行うと、サッカーの技術が高いチームが勝利するでしょう。もちろん、ピッチの広さや人数も大いに影響があります。

オフサイドがないこと、ローバウンドで扱いやすいボールこの二点を起点として、ゴールを奪うこと、ゴールを守ることを考えることがフットサルのはじまりです。

2015年8月1日 | カテゴリー : 指導者 | 投稿者 : futsalr2015

武相高校フットサル部顧問 大友洋介 「フットサルの入り口」 ~チームの扉をたたいてみてください~

神奈川県横浜市にある武相高校で、2002年からフットサルを指導しております。

U-18年代の育成をテーマに、U-18年代のフットサルチームについて紹介します。

11人のサッカーは、基本的に高体連とU-18クラブに分かれていますが、フットサルではこの区別がありません。クラブチームも部活動も、同じ大会に参加し競い合っています。

フットサルチームの形態は様々です。

Ⅰ.学校のフットサル部

フットサル部(含、同好会)がある学校は、それほと多くはありませんが、以下のように分類されます。

ⅰ.サッカー部が強いまたは人数が非常に多い学校のフットサル部

ⅱ.グラウンド事情により、サッカー部がない学校のフットサル部

ⅲ.フットサル愛好者が多く、生徒たちの熱意により設立されたフットサル部

いずれの場合も、定期的な練習場所を確保できること。顧問の先生がいることが、クラブ設立の条件となります。

Ⅱ.学校のサッカー部

ⅰ.サッカー部がフットサルとサッカーの両方に取り組む。

ⅱ.サッカー部を、高体連登録とクラブチーム登録に分け、フットサルとサッカーの両方に取り組む。

ⅲ.人数が少ないため、フットサルを中心に取り組む。

高体連のサッカー大会は、1校から1チームしか参加できない大会がほとんどです。100人以上いても、試合に出られるのは11人、ベンチ入りも20名ほどです。そのため、試合経験がないまま3年間過ごす選手もいます。フットサル大会は、1つのチームを複数に分けて大会エントリーすることができるので、ほとんどの選手が試合を経験することができます。

Ⅲ.クラブチーム

ⅰ.地域のスポーツクラブとして活動しているフットサルチーム。

ⅱ.Fリーグを含む、社会人チームの下部組織。

ⅲ.サッカーを主に活動するチームのフットサル部門。

ⅳ.フットサルの指導者が中心となって運営しているフットサルチーム。

ⅴ.フットサル施設が運営するフットサルチーム。

ⅵ.同じ学校に通う生徒達で作り上げたサークルとして活動しているフットサルチーム。

ⅶ.中学まで共にサッカーをしていた選手たちで作り上げ、その保護者が中心となって運営しているチーム。

クラブチームも本当に様々です。しっかりとした運営と、活動拠点があることが重要です。

Ⅳ.その他

ⅰ.友人同士で集まって作ったフットサルチーム。

ⅱ.フットサルスクールの生徒達で、参加する大会のためだけに結成したフットサルチーム。

ⅲ.中学時代共にサッカーをしていた選手たちで、参加する大会のためだけに結成したフットサルチーム。

5人で試合ができるフットサルでは、こういったチームも大会に参加しています。ただし、個人登録制度からチーム登録制度に変わったため、大会よっては参加が難しくなっています。

これからフットサルをはじめようとする選手には、数多くの選択肢があります。まずは、どんなチームで活動するかを決断してください。自分自身にとって一番フットサルを楽しめる環境となるよう考えましょう。

学校においても、クラブにおいても 経験のある指導者が不足していました。しかし、近年 一時代を創ったフットサル選手たちが、指導者として活躍し始めています。また、長年活動しているフットサルチームの指導者たちの成長も著しいです。サッカーの指導をしながら、フットサルの指導も行える指導者も増えて来ています。指導できる人がいなくても、指導者がいないことによって、フットサルを学ぶことの大切さを覚えた選手も数多くいます。

フットサルの入り口はとても広いです。「やってみようかな」といった気持ちがあるなら、ぜひチームの扉をたたいてみてください。

武相高校フットサル部顧問

大友 洋介

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2015年4月25日 | カテゴリー : 指導者 | 投稿者 : futsalr2015

東京都ユースリーグ選抜U-18 森佳祐監督「今後の課題」

少し時間が空いてしまいましたが、先週行われました「ユースフットサル選抜トーナメント2015」を振り返りたいと思います。

東京都ユースリーグ選抜U-18(以下「東京都選抜」)として、大会自体は準優勝として大会を終えました。開催地枠として、リーグ戦を突破し決勝戦まで上がれたことは、最低限のノルマは達成できたのではないかとホッとしています。

優勝した愛知県選抜は、フットボーラーとしての個人能力、フットサル選手としての戦術理解力など、フットサルチームとして優勝に一番ふさわしいチームで、決勝で戦うことができ、素晴らしい経験となりました。

都選抜準決勝2また準決勝では、同じ東京都リーグ優勝チームの「FOOTBOZE FUTSAL U-18」と対戦し、最後まで目が離せない、観ている人たちが熱くなるような試合ができたことは非常に嬉しく思っています。

さて、事前に掲げていたふたつの目標「優勝」「動員1,000人」ですが、両方とも達成することができませんでした。

まずは動員についてですが、開催地チームとして選手やスタッフによるSNS等の告知を行い、動員1,000人を目標としていましたが、決勝戦の観客が387人ということで半分にも達しませんでした。平日ということもあり、なかなか思うように観戦者を集めることができませんでした。メディア露出が少ないこの大会において、内部からの動員を考えると、一番動員したかったのは、学校の部活に所属している選手の学校単位での動員でしたが、期待以上の動員にはつながりませんでした。フットサル部に所属しておらず、普段、フットサルを見ない一般の学生にとって、全国大会というコンテンツはフットサルの魅力を伝えるのに相応しい場所だと思うので、次回以降については改善し、より多くの観戦者を集めていきたいと思います。

さて、実際のプレーについてですが、東京都選抜を率いるにあたり、アグレッシブなフットサルで主導権を握り、多くのチャレンジをしていくことをコンセプトとして上げました。

選手たちは、一部を除き、年間リーグで戦っているものの、残念ながら、フットサルの技術、戦術がしっかり身に付いている選手は少なく、思うような戦略をとることができませんでした。攻撃において、数回の練習では浸透させることは不可能でしたので、遅攻についてはセットを組んだ元のチームの戦術に任せ、それが全国でどこまで通用するかチャレンジさせることにしました。

守備においては、全国大会に出場する能力の高い相手にどれだけ良い守備ができるかということで、守備における一番良いプレーである「奪うプレー」を意識し、そこからのショートカウンターを理想の形とし、チーム全体で意識させるようにしました。

上記のコンセプトの元、戦っていく中で、大会を通じて大きく足りなかった部分が二点あります。

・ボールを奪取した後のファーストプレーの精度

・プレーエリアを意識したプレーの選択

ボールを奪取した瞬間に、前に進めるのかそれともキープするのか、ボールを持っていない選手は前にダッシュするのか、それとも後ろにサポートするのか、

相手が揃っている状態の遅攻とは異なり、同じシチュエーションがない中で、状況を認知し、即座に最良の決断をしなければなりません。その点において、判断が遅く、決断までに時間がかかるケースや、誤ったポジション取りをしてしまうことによって、再度ボールをロストしてしまう場面が多く見られました。

この力をつけるためには、普段から攻守の切替があり、プレッシャーがかかるトレーニングを行わなければなりません。

そして、二つ目については、自分がどのエリアでボールを保持しているのかを認識し、リスクをおかしてプレーして良いのか、それとも、しっかりボールを保持しなければならないのかを、決断しなければなりません。年間のリーグ戦でしばし見られていた、エリアやチームプレーを優先するのではなく、自分の得意なプレー、好きなプレーを選択してしまうという癖が治らず、自陣エリアでボールを奪取される場面が何度もあり、即座にピンチを招いていました。

やはりこれにおいても、普段のトレーニングから、実際のゲームに近い形で、相手のプレッシャーのある状況で行わなければ、身につかないものだと思います。

東京都選抜は全国で準優勝という一見、素晴らしい結果に見えますが、上記以外にも多くの反省点があり、普段のトレーニングやリーグ戦がまだまだだということをこの大会を通して、選手、スタッフが感じたと思います。

現状に満足せず、普段からもっと質の高いトレーニングを積み重ね、指導者間で情報を共有し、リーグ全体で底上げをしなければ、他地域に追い越されるのも時間の問題だと思います。今回の経験を生かし、レベルアップを図り、次回の選抜大会では、日本一になります。今後の東京都ユースリーグに期待してください。

ユースフットサル選抜トーナメント2015

東京都ユースリーグ選抜U-18監督

森佳祐

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2015年4月1日 | カテゴリー : 指導者 | 投稿者 : futsalr2015

東京都ユースリーグ選抜U-18監督 森佳祐「我々がすべきこと」

今回は東京都ユースリーグ選抜U-18の監督としてコラムを書かせていただきます。

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3月24,25日に墨田区総合体育館で行われます「ユースフットサル選抜トーナメント2015」に「東京都ユースリーグ選抜U-18」は開催地枠として出場します。 

このような素晴らしい舞台を用意していただきました関係者の皆様、また、日頃、年間を通じて切磋琢磨したユースリーグの選手、スタッフ、関係者の方々に深く感謝するとともに、その感謝の気持ちを、行動で示さなければならないと行います。

チームでは、その行動として、二つの目標をかかげました。

一つ目は、優勝です。

ただ、優勝するのではなく、アグレッシブなフットサルで、観ている人たちにフットサルの魅力を伝えます。攻守の切り替えが早く、主導権を握り、常にかけひきをしながら、フットサルを見たことがない人に楽しんでもらえ、また、選手のレベルアップにつながるプレーをします。

二つ目は、動員1000人です。

全国という最高の環境に、観戦者を呼ぶことは、開催地枠での出場チームとしての使命です。自分たちがいくら良いプレーをしても、それを見てくれる人がいなければ、ただの自己満足に過ぎず、発展にはつながりせん。一人でも多く会場に呼び、フットサルの仲間を増やします。

たくさんの方に、フットサルの素晴らしさを伝え、仲間と勝利を分かち合う。これが我々がすべきことです。

大会まで残りわすがですが、全力で準備をし、たくさんの方に喜んでもらえる大会にします。お時間ある方は、ぜひ会場にお越しください。将来を担う若者たちの熱いプレーをお見せすることを約束します。応援よろしくお願いします。

東京都ユースリーグ選抜U-18 監督

森佳祐

※大会の詳細はこちらをご覧ください ⇒ 大会概要 ・ 試合日程

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2015年3月22日 | カテゴリー : 指導者 | 投稿者 : futsalr2015

府中アスレティックFC 下部組織統括 森佳祐「知ってもらう」

フットサルの育成について考えると、いつも同じ壁にあたる。

フットサルが知られていないという壁である。フットサルの知名度のことではなく、競技としてのフットサルのプレーイメージがないということである。

私は今年度、ユースの監督として初めて1年間通して戦った。フットサルクラブチーム、高校のフットサル部や高校のサッカー部など、いろいろな環境のチームと対戦をした。その中で、フットサルのピッチで、サッカーと同じプレーをするチームと戦った回数は少なくなかった。その戦い方が良いとか悪いとかと言うつもりはない(むしろサッカースタイルの方が怖かったりする…)。

ただ、彼らはフットサルを知らないだけなのだ。フットサルを知らないというのは、フットサルをしながらも、フットサルをしていないに等しく、フットサル経験の積み上げにはならない。

また、私のクラブのユースチーム、サテライトチームには、トップチームを目指して、門を叩いてくる選手が多くいる。とても楽しみな才能を持った選手でも、チームにすんなりと合流することができず、まずはフットサルを知ることから始めなければならないことが多々ある。それは短い現役生活の中で、非常にもったいない期間だ。

育成年代の指導として、選手たちにフットサルを深く掘り下げて知ってもらうことは、とても大切なのは言うまでもない。だが、若年層でフットサルをやっている者よりも、むしろ、フットサルをしていない選手が、高校卒業後にフットサルにチャレンジすることが多いのが現状だ。フットサルをやっている者だけがフットサルを知っていても、それは真の育成にはならない。

一人でも多くの人達に知ってもらうため、サッカーとの垣根を超えて、大きく言えば、その他のスポーツの垣根を超えてスポーツを楽しむ人にも、一般の人たちにもフットサルを知る機会を増やすこと。それこそが、日本フットサル界の本当の育成につながるはずだ。

「言うは易く行うは難し」。

偉そうに言った以上は、実行するのみ。このサイトでその様子を紹介できればと思います。

府中アスレティックFC 下部組織統括

森佳祐

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2015年3月16日 | カテゴリー : 指導者 | 投稿者 : futsalr2015