【対談】フウガドールすみだ 清水和也選手×Soleil FUTSAL 望月充監督×FOOTBOZE FUTSAL U-18 豊田幸夫監督 「高校生Fリーガーの原点を探る~前編~」

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清水和也選手(フウガドールすみだ)

高校3年でFリーグデビューを果たし、その若さと得点力で注目を集める清水和也選手だが、Fリーガーになる以前の彼はどんな人間で、どんな選手だったのだろう?小学校、中学校時代からすでにその才能の片鱗を見せていたのだろうか?それらを探るべく、清水選手と中学時代の恩師、高校時代の恩師にお集まりいただき、話をうかがった。全員が旧知の仲とあって、対談は笑顔に包まれた和やかな雰囲気で始まった。

前編『フウガドールすみだ  清水和也選手×Soleil FUTSAL 望月充監督』

司会 今日はよろしくお願いします。早速ですが、まずは清水選手の子ども時代についてお話を聞かせてください。サッカーやフットサルに出会う前の清水和也はどんな子どもでしたか?

清水 お兄ちゃん(清水誠也選手・フウガドールすみだバッファローズ所属)が居たので、いつもお兄ちゃんにくっついて行動していました。テレビゲームをすることもあったけど、お兄ちゃんと一緒にボールを持って出かけることが多かったです。土日は朝の9時に学校の校庭が開放になるので、すぐにボールを持って遊びに行き、12時にお昼ご飯を食べに帰って、また夕方5時までボールを蹴るというのがほとんどでしたね。

司会 活発な子だったんですね。サッカーは小学校に入ってすぐに習い始めたんですか?

清水 いえ、お兄ちゃんが小学6年生の時にサッカークラブに入ったので、僕もその時一緒にそのクラブに入ったんです。僕が4年生の時です。それまではサッカーを習ったことはなくて、近所の大人たちと学校でボール蹴ることがサッカーでした。

司会 つまり、ブラジルの子供たちのようなストリートサッカーではないけどエンジョイフットボールのようなものをやってきたのですね。4年生になって初めてサッカークラブに入った時、周りの子どもたちと自分とのレベル差は感じましたか?

清水 入る以前に大人と戦っていた分、他の子たちよりか頭一つ分出ていたのかなというイメージがありますね。今でも鮮明に覚えているんですが、サッカークラブに入った最初の公式戦では、一人でどんどん攻め入って11点決めたんですよ。

司会 11点!それはなかなか出来ることではないですね。さて、次にフットサルとの出会いについて教えてください。

清水 当時中学2年の兄が、新しく出来たソレイユというフットサルチームに入ったので、僕も遊び感覚で入ることにしたんです。それが小学6年の終わり頃です。

司会 なるほど、サッカーに続いてフットサルもお兄さんの影響で始めたわけですね。当初は遊び感覚だったということですが、実際にソレイユでプレーしてみて「これぞフットサル」のようなものは感じましたか?

清水 足の裏でトラップをするっていうことは今までの自分の中で経験がなかったので、驚きを感じました。足裏トラップをすることでフットサルを知ることにも繋がったと思います。

司会 それではここで、ソレイユ・フットサルの代表でいらっしゃる望月監督にもお話をうかがいたいと思います。まず、ソレイユ・フットサルを立ち上げ、清水選手が入ってきた時の印象を教えていただけますか?

望月 和也は明るく活発で、今よりポッチャリしていました (笑)。繊細な兄、誠也とは真逆のイメージでしたね。プレー面では、足元のあるプレーヤーだなと思いました。

司会 清水選手の良さを引き出すような練習というのは特別にしていましたか?

望月 一切してないですね(笑)。最初、兄の誠也に一度ゴレイロをやらせたことがあって、その影響なのか、和也は入ってすぐに、ゴレイロをやりたいと言い出しました。なので、最初の半年や一年はゴレイロトレーニングを多くやっていて、上の学年ではゴレイロがいないということもあり、ゴレイロで多く試合に出していました。

司会 ソレイユでは、どのタイミングで清水選手をフィールドプレーヤーとして使おうと思いましたか?

望月 本当はゴレイロでもフィールドでも使いたいと思っていました。でも、ゴレイロがいないので、ゴレイロをやってもらっていたんです。ですが、途中いい人材が見つかったので、そこからは主力で和也をフィールドプレーヤーで使うことにしました。和也を中心にというか「困ったら和也!」という戦術をやっていました。

司会 清水選手は、「困ったら和也!」は感じていましたか?

清水 ソレイユには元々しっかりとしたフィクソもいたので、前三枚、後ろ一枚のスリートップのようで、守備もしないで攻撃だけするような戦い方でした。個人的にはすごくやりやすかったですね。

司会 自由にプレーできていたんですね。練習の時はどうでしたか?

清水 そうですね。お兄ちゃんがいることもあってか調子に乗ってしまう部分もあって、普段は怒らない望月監督にも怒られました。望月監督が話しているのにも関わらず、下級生でもある僕が望月監督の話を聞かないでボールを触っていて、「お前、そんなに上手くないのに話聞かなくていいのか!」と言われたこともありました。

望月 そんなこと言ったの覚えてないなー。相当態度悪かったんだと思うよ(笑)。

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Soleil FUTSAL望月充監督と清水選手。懐かしいエピソードに笑みがこぼれる。

司会 今の清水選手からは想像できないですね。ソレイユの活動を通して、一番印象深かったこと、思い出に残っていることは何ですか?

清水 中学3年生の夏にやった全日本ユースの準決勝でコンフィアール町田というチームに負けちゃったんです。中学最後の大会でしたし、全国大会を目標にしていたので、何としても関東大会に行きたかったんですけど、負けて、「終わっちゃったんだな」と・・・悔しい思い出です。

司会 望月監督は何が一番印象に残っていますか?

望月 和也と同じですね。その大会の2位までが関東大会に進めるんですが、準決勝では途中まで負けていて、追いついて、引き離されて・・・試合終盤に和也がシュートを入ってゴールには入ったけどブザーの後でノーゴールという判定になってしまったんです。それが入っていればPK戦になっていたはずです。後味の悪い試合になってしまい今までで一番悔しかったけど、一番ヒートアップした試合で楽しくもありました

司会 清水選手はどうでしたか?

清水 僕ももちろん楽しかったんですが、やりきった感じがありましたね。僕もまだ子どもだったので審判に文句を言ってやろうかと思ったのですが、試合後は燃え尽きた感じで、頭が真っ白になって「この先どうすんだろうな」と考えましたね。

望月 試合後に(ソレイユ所属の)○○が文句言って、退場になったよね(笑)。

清水 そうなんです。○○が試合後に退場になりました。

(一同爆笑)

司会 ソレイユで練習や試合を重ねる中で、清水選手は望月監督からいろんなことを学ぶことができたと思います。

清水 はい、やっぱり僕が「フットサル」というスポーツに出会ったのも望月監督のおかげでもあるので、感謝したいです。また、自由にやらせてもらっていたこともあって、「プレーで体現しろ」ということを教わったと思います。本当にのびのびやれた印象ですね。

司会 望月コーチは、自由にやらせてあげるのが清水選手に合っていると思ってそうしていたのですか?

望月 和也にというよりかは、ソレイユのチームカラーという感じですね。前からプレスにいくっていうことと一対一で負けないこと、責任を持ってプレーするのであれば、後は自由にやっていいとは常々全員に言っていました。オフェンスの練習はほぼしてないんです。けれど、守備の基本はやらないと勝てないのでほぼ守備練習に充てていました。8割9割守備練習ですね。

清水 後は柔道場でのフィジカル練習ですね(笑)。

望月 ハーレンフースバル(5人制屋内壁ありサッカー)だったね。

清水 あれが最初でしたね(笑)。

司会 さて、清水選手はソレイユを離れ、高校からはフットボウズ・フットサルU-18に入ることになります。望月監督は、外から清水選手のプレーを見てどう感じましたか?

望月 ソレイユでは、「守備では前プレ、攻撃では自由にやっていい」前提のもとにフットサルの基本的なところしかやっていなかったのですが、フットボウズに入ってしっかりした戦術を学ぶ中で、より和也にフィットしたフットサルが出来るようになっているなと思いました。

司会 技術的な面でも成長を感じましたか?

望月 高校生になってからはソレイユでゴレイロコーチを和也にやってもらっていたんですが、成長しているなと感じたのは、ゴレイロへのシュート練習のときですね。シュートの正確さはやはり大事だと思いますし。一方で、全く成長していないなと思ったのは、兄弟喧嘩。兄・誠也もソレイユでコーチをやっていたのですが、練習中にコーチ同士、兄弟喧嘩を始めてしまうんですよ(笑)。ソレイユの中で一番コーチ同士が喧嘩しているんじゃないかというくらい多かったですね(笑)。

【フウガドールすみだ 清水和也選手プロフィール】 1997年東京都生まれ。小学校4年生から東京都中野区の上鷺宮フットボールクラブでサッカーを始める。小学6年の時、同じく中野区のフットサルクラブSoleil FUTSALでフットサルを始め、東京都ユースU-15フットサルリーグ選抜に選ばれる。高校入学と同時に東京都三鷹市のクラブチーム、FOOTBOZE FUTSAL U-18に入り、高校1年で東京都ユースU-18フットサルリーグ選抜。高校2年のシーズン後半にフウガドールすみだバッファローズにも登録出場し、東京都U-23選抜にも選出される。高校3年の4月、フウガドールすみだでFリーグデビュー。今春、高校卒業予定。

【Soleil FUTSAL望月充監督プロフィール】 1985年東京都生まれ。2007年、東京工学院専門学校スポーツ健康科保育士幼稚園教諭コース卒業。2007年北中野中学校サッカー部の補助活動として、Soleil FUTSALを設立。2011年と2013年に東京都ユース(U-15)フットサルリーグ1部・準優勝。2014年、東京都ユース(U-15)フットサルリーグ1部・優勝。2014年度東京都U-15フットサル選抜監督。

文・写真:futsal R編集部

<後編『清水和也選手(フウガドールすみだ所属)×FOOTBOZE FUTAL豊田幸夫監督』へ続く>

2015年3月1日 | カテゴリー :