帝京長岡高等学校(北信越地域代表) vs フットボウズ・フットサル U-18(関東地域第1代表)の決勝戦は、延長の末に8-6で帝京長岡が勝利。全日本ユースを最大の目標として活動してきた「フットボウズ・フットサル U-18」は惜しくも優勝を逃した。しかし、最後までフットサルチームらしさを失わなかったその戦いぶりは、多くの観客に感動を与え、中高生フットサル選手たちに夢を与えた。
このチームのキャプテンであり、冷静に相手の状況を読み取る力で仲間を決勝へと導いたフットボウズの頭脳、茶碗谷廉太朗選手、フィクソとしてもピヴォとしても超高校生級のプレーを展開し、チームの危機を救った岡部直樹選手、攻守において一手先を見ながらプレーをクリエイトし、常にチームの要として活躍した南雲颯太選手にお話を伺った。
―全日本ユース、お疲れ様でした。大会が終わって10日程経ちましたが、準優勝という結果について今はどう感じていますか?
茶碗谷:悔しいですが、全日本ユースの出場チームの殆どがサッカーチームという状況の中で、フットサルチームとして違いを見せることは出来たのではないかと思います。
岡部:フットサルチームとして出場して決勝まで残れたことは誇らしいですし、決勝でも、フットサルをやっている中高生、フットサルに興味を持っている中高生に希望を与えるような戦いができたことは良かったです。
南雲:悔しいですね。試合の動画を観返しても勝つチャンスはあったなと感じるので、逆転されたのは今でも悔しいですが、この試合があったから今がある、これからがあると思って、また頑張っていきたいです。
―1次ラウンド(予選)を突破して迎えた準々決勝。対戦相手は、ユースフットサル選抜トーナメント関東大会(千葉県選抜の主要メンバーが中央学院)、全日本ユース関東大会でも対戦している中央学院高等学校(関東第2代表)でした。同校との過去2回の対戦と比べ、今回はフットボウズが終始優勢だったように思いますが。
茶碗谷:過去2回の対戦では、中央学院は全員が1対1で仕掛けてくる形だったのですが、今回はいわゆるフットサル的な動きが増えていたので、正直、前よりも守備などの面で対応がしやすかったです。自分たちが理想としている試合運びが出来ました。
―準決勝はフィジカルの強い、香川県立高松商業高等学校(四国地域代表)との対戦。0-2から同点に追いつくという展開でしたが、試合を振り返ってみていかがですか?
岡部:相手の特長でもある球際の強さ、フィジカル能力の高さというのはフットボウズには足りないので、それ以外の所で点が取れないと厳しいかなと思っていました。今回は大会を通して自分はフィクソとしてプレーしていたんですが、0-2とされてからは、自分がピヴォになってどうにかしないと勝てないと思って自ら前に行きました。いい時間帯で1点返すことが出来て良かったです。パワープレーで取った2点目に関しては気持ちで取った点なので、みんなのゴールです。
―2-2の同点で前後半が終了。決勝に進めるかどうかが決まるPK戦はかなり緊張したのではないでしょうか?
茶碗谷:これまでもいろいろな大会でPKを経験していたので、あまり緊張せずに決めることができました。
岡部:相手の1本目を野澤が止めてくれたので流れはこっちのものだと思って、思いっきりゴールに突き刺しました。
―高松商戦は魂で勝ち取った1勝だったと思います。そして、決勝戦は帝京長岡高等学校との対戦。正直、試合前は帝京長岡が優勢かと思っていたのですが、実際には、後半途中まではフットボウズペースで試合が進みました。前半2-0で折り返しましたが、ハーフタイムではどのようなお話をしたのでしょうか?
南雲:自分たちがこれまで何度も0-2をひっくり返して勝ってきた経験があるので、2-0で勝っていても全然安心はしていなくて、集中して3点目を取りに行こうという話をしていました。
茶碗谷:試合前に分析担当のコーチが分析した内容をボードに書いてくれていたので、ハーフタイムはそれを確認し、あとは延長戦になっても戦えるよう、とにかく疲れを取ることを優先しました。
―後半入ってすぐに追加点で3-0とし、その後、3-1、4-1、4-2、5-2という展開。取られても取り返し、3回目の3点リードで、フットボウズの勝利が見えてきたかと思ったのですが、結果的には、ここから一気に同点に追いつかれてしまいました。この時の状況を教えていただけますか。
茶碗谷:5-2になった辺りで相手が4番をピヴォに入れて、キーパーからどんどん4番に当てる、後ろも組み立てずに4番に当てるということをやり始めたんですが、あれは今大会で帝京長岡が一度もやってこなかった戦い方でした。それまでの戦い方を見る限りでは、後ろにいる4番と6番のスイッチの所をしっかり対応すれば大丈夫だということで、その通りにやって決勝で5-2までもっていけたんですけど、相手が4番を前に送ってからは上手く4番に収まるようになり、自分たちはそれに対応出来なくて5-5まで行ってしまいました。
相手はパスが上手いチームだったので、投げてくるというのは想定もしていなかったですし、試合前の予想に反して自分たちが試合を優位に運んだことで、油断が生まれてしまった部分もあると思います。疲れのある中で、1対1もそれまでのようには対応できなくなり、ディフェンスも後手になり、ファウルもたまっていってしまいました。
岡部:一番は相手のメンタルにやられました。自分たちは今まで3点差をひっくり返された経験はなかったんですが、帝京長岡にはそれが出来るメンタルがあった。それが結果に表れたんだと思います。
南雲:5-2,5-3となっていく中でみんなの中に少しずつ焦りが出てきてファウルがたまってしまう、足が止まってきて抜かれてしまうという状況だったので、ベンチ含めみんなでもう少し声掛けをして、ディフェンス、オフェンスをすればよかったと思います。
―今大会、4日間6試合を全力で戦い抜き、どんなことを感じましたか?そして、今後フットサルにどう取り組んでいきたいですか?
茶碗谷:フットボウズの目標だった「全日本ユースの決勝の舞台で自分たちのフットサルをする」というのは出来たのですが、大会を通してまだ個人の部分でサッカーエリートとの差を感じました。フットサルチームであっても、フットサルの技術だけでなく、サッカーをやっている人たちの1対1とか技術を超えられるようなトレーニングをしていかなればサッカーチームに勝てないと思いますし、個人としても上のレベルではやっていけないと思います。今回はそれを知るいい大会でした。
岡部:あのピッチに立てたことは今後の財産になるし、フットサル界に希望を与えられた戦いでもあったので、そこは誇りに思います。ただ、個人としてもチームとしても課題がすごく出たので、それを一個一個消化しながら上のレベルでプレーできたらいいなと思います。
南雲:ゼビオアリーナという素晴らしい舞台で決勝戦ができたのは本当に良かったです。自分たちみたいなフットサルチームでもあそこまで行けるということは証明できたと思うので、いつかフットサルチームが優勝するのを期待して、自分も上のレベルでプレーできるように頑張っていきたいです。
茶碗谷選手、岡部選手、南雲選手、ありがとうございました!フットサル選手として今後ますますのご活躍をお祈りしています!
試合動画
①準々決勝 フットボウズ・フットサル U-18 vs 中央学院高等学校