2018年8月11日・12日、駒沢屋内球技場で開催された「第18回東京都フットサルチャレンジU-18」は、ASV PESCADOLA町田 U-18が決勝でフウガドールすみだファルコンズ(第5回全日本U-18フットサル選手権大会全国準優勝)を破り、念願の初優勝を飾った。
創設2年目ながら、東京都U-18の頂点の立ったこのチームを率いるのは、日本フットサル界のカリスマ、甲斐修侍監督。
甲斐監督は、2年前にFリーグ所属のトップチーム「ASV PESCADOLA 町田」での選手生活を終えると、同クラブのアカデミー部門の指導にあたり、東京都U-18でタイトルを獲得するまでにチームを強化してきた。しかし、これまで日本フットサル界を牽引してきたカリスマが目指すところはまだ遥か先にある。
育成の未来について、甲斐修侍監督に語っていただいた。
甲斐修侍監督
―初優勝おめでとうございます!
ありがとうございます。去年、この大会の決勝で敗れて、冬の東京都ユースでも敗れて、そして直前のグリーンアリーナ神戸カップ(8月9日・10日開催)でも敗れてしまったので、本当に優勝するって難しいって改めて感じながら、それを選手たちにも話しながらやってきました。
優勝しないと見えない景色もあるし、優勝するということを経験しないと次に繋がるものを得られないという話をして、そこだけを目指してやってきたので、今回優勝することができて本当に良かったと思います。
―お話にもあったように、昨年から準優勝が続きました。選手たちも本当に悔しい思いをしてきたかと思いますが、これまであと一歩のところで敗れてしまっていた要因は何だったと思われますか?
これまでを振り返ると、準決勝まではいい戦いができていたのに、決勝ではメンタル的な整理がついていなかったり気持ちが強く出過ぎたり、コントロールできないということが一番大きかったですね。決して優勝できないようなコンディションではなかったはずなので、ゲームを管理する能力が足りていなかったということだと思います。今大会は二日間通してそこがうまくいったので、この結果に繋がったのではないかと思います。
―準決勝の府中戦はスコアレスドローで、PK戦での勝利となりましたが、この展開は想定していらっしゃいましたか?
試合前から、1点勝負の難しい試合になると思っていましたし、PK戦になることもかなり想定していました。今回は、どのチームと対戦しても、失点して(点を取り返す)時間が足りなくてそのまま負けてしまうということが起こり得るレギュレーション(ランニングタイム10分ハーフ前後半)だったと思います。その中で、点を取れなくても取らせないことで、最悪PKに持っていくというところは保てたので、そこは良かったかなと思います。
―そして、決勝戦は去年と同カード、フウガドールすみだファルコンズとの対戦となりました。試合前には、選手たちにどのようなお話をされたのでしょうか?
フウガのスカウティングは少ししていたので戦術的な話もしましたが、それ以上に、メンタル的に自分をコントロールしてゲームをコントロールすることの重要性についてしっかりと話しました。
―決勝は、選手たちの気迫が良い形で出た素晴らしい試合だったと思います。
さて、ペスカドーラ町田は、2年前にU-15を、そして昨年にはU-18を創設されたわけですが、そこに至るまでの経緯を教えていただけますでしょうか。
もちろんトップチームがFリーグに参戦しているので、下部組織の形成はずっとやらなければならない課題だったんですが、ようやく2年前にコーチやスタッフの体制が整い、着手することができました。今は、3ヶ月、半年単位で、どういう育成でどういう下部組織にしていくかを模索しながらやっているところです。
―下部組織の指導を始めて感じられたこと等ありましたら、お聞かせいただけますでしょうか。
元々フットサルをやってきた子たちではないので、何も知らない子たちにフットサルを伝えていくという意味では難しさがありました。一方で、この2年間指導をしてきて感じたのは、子どもたちには僕ら指導者側のモノサシでは測れない成長スピード、可能性があるということです。U-15から見始めた子たちが今は高2になったんですが、その子たちのスキルの移り変わりというのは、正直、見始めた時には想像し得なかったものです。今、(指導を始めてから)3年目を迎えて、「子どもたちの方向性や選手の価値というのは、僕ら指導者が決めてはいけない」ということを改めて感じ、日々勉強しながら指導にあたっています。
―今後の下部組織の方向性、目標などを教えていただけますでしょうか。
この2年やってきてすごく感じたのは、「今、U-18でやれていることをU-15で終えていたい」ということです。それが今の一番の目標です。もっともっと早いうちから子どもたちに刺激を与えられるような環境にしていかないと、16歳、17歳くらいでFリーグデビューできるような選手は生まれてこないと思います。初めてフットサルに触れるのが15歳というのと、(もっと早い段階で触れるのとでは)全然違うと思うので。
―では、小学生年代もスクールだけでなく、U-18やU-15のような形にすることも考えていらっしゃるのでしょうか?
もちろん、近い将来、U-12もアカデミーも作りたいと思っています。ただ、そのためには、U-15やU-18のような、しっかりしたリーグや大会という土台が必要かと思います。U-12の環境がもっともっと充実してくれば、サッカーと掛け持ちでやりながらも子どもたちがフットサルを経験できる機会が増えてくると思います。
―最後に、今年度のU-18の目標をお願いします。
全日本U-18が本当に悔しい結果で終わったので、その悔しさをリーグ戦にぶつけていきたいと思います。東京都U-18リーグで優勝することを最大の目標にして、もっといいチームになれるように練習していきます。
甲斐監督、貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。近い将来、高校生年代のFリーガーが生まれ、日本フットサル界に旋風を巻き起こすことを楽しみにしています!